こないだの電話の内容

「あ、もしもし、あのぉ、そろそろ自殺しよーかなぁなんて考えてるもんなんですけど...... あ、違いますよ違います。冷やかしとかじゃなくって! ちょっと誰かと話したくなって......そそ、悩み相談です、それそれ! いやー最近どうもごたごたしてまして、ど…

再開.2

「これは、彼女からのプレゼントだったんだよ」 「ほー」 「あれは、暑い夏の日のことだった......」 「......」 「アパートの一室で、誕生日を迎えたんだ」 「ふーん」 「その時彼女が、もう疲れたから別れましょうって......」 「ダウト!」 「む」 「つく…

墜落

洪水の中、折れた脚をかばって白地の壁にもたれかかっていると、黄色い長靴が近づいてきた。梅雨のことだった。 雀は巣立って間もなく不幸に陥ったわけだったが、それが幸いして、ちいさなちいさな世界を手に入れたのだった。 雀は夢にうなされる深く深く、…

再開.1

「ごめん、待ったよね?」 「いやいやいま来たとこだよ」 「そう、よかった」 「しかし久しぶりですね」 「ほんと、お久しぶりです」 「おかたいなぁ」 「ほんとだねぇ」 「......ちょっと痩せた?」 「え?そう?」 「いや褒めてないぞ、飯食ってるか?」 …

groovin moment.3

午後およそ七時、吉兆にて。 キンキンに冷えたビール三杯。と、お冷が一杯か。 「いやー、今日のセッションは、ちょっとなぁ」 「ディスコみたいになっちゃったな」 「それか、ニューミュージックあたりか」 「言えてる」 「AORとか、山下達郎とかその辺?」…

groovin moment.2

今朝がた、うちのオノヨーコがスタジオ入りした。 彼女は生音のことはなんにも知らないようで、ただあっけにとられているようだった。 「今日は、とりあえず見ててほしい」 「よし、じゃいつもの」と言い、セッションが始まる。 Ds君、今日は16ビートの気分…

groovin moment.1

「地元どこ?え、北海道!遠いねぇ!」 街はずれの路地、当たり障りのない会話が続いている。 「北海道のどこ?札幌か!わかるわかる!俺も一回行ったことあったな」 「あ、ほんとですか?」 「円山動物園でさ、あそこは広いねぇ」 「土地の広さぐらいしか、…

猫奴隷

夢の実像化を試みる。 もとは雑貨屋の倉庫だったのだろうか。有象無象の転がる廃墟を、私は散策している。 特別いいものも拾えやしない。内側がズタズタになってしまっていた外套以外は、なにも使えそうなものはなかった。 と、不意に目の端をちらつく影が。…